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日本国籍に生まれるが、自分を隠さずに生きていきたいとの思いから、両親(父1世、母2世)のルーツであるKoreaの姓「盧」を名乗り始め、95年、裁判により戸籍名として「盧」を取得する。
2003年からは、幼い頃からの歌手の夢を「ダメでもともと」で実現し、その活動の場はライブハウス、コンサートだけでなくお寺、病院、イベントなど多岐にわたる。2005年には、ファーストアルバム「マウム〜こころ〜」2009年にはセカンドアルバム「海渡り」を発表。
彼女のうたには自身の生きづらさ、絶望や失意…ネガティブな感情も肯定しながら、その先にある希望や夢が込められている。

弱者の側の視点に立って歌いたい。

−シンガーソングライター 盧佳世インタビュー

 

Q. 歌い始めたきっかけ。

A. 小さい頃から歌手になるのは夢ではあったのですが、実際なれるとは思っていませんでした。直接的な民族差別にあったことはないんですけれど、間接的に聞いたり、父が就職差別にあったり、私自身はうつで引きこもりがちになったり、また最近診断された脳の機能障害(ADD)の影響もあり、なかなか生きづらい。自分の人生に明るい展望を持ちにくい。かといって、女性の生き方…いわゆる結婚して「良い嫁・妻・母」としてだけ生きるのは私には絶対無理。何処か捨て鉢になっていましたね。そんな中、母が94年に58歳で他界。大好きないとこも40代で亡くなって。

 

人生、いつ自分に終わりが来るかわからないぞと思い立って。夢を夢で終わらせるのではなく、母の口癖「ダメでもともと」で、やるだけやったらアキラメもつく、じゃあやってみよう!で、歌手になる宣言をしました。

 

Q. 「歌手になる」という宣言をしたもののどうやって歌手になったんですか?

A. とりあえず、クラシックを歌っていた友人と、ゴスペルのユニットでデビューしていた友人二人に、歌いたいんだけど手伝ってくれないかと無謀にも頼んで、2003年の6月にアカペラでコンサートを開きました。けれど、三人そろうのは難しく、自分一人でも歌いたいという思いがあって、でも伴奏者がいない…と思っていたところ、行きつけの喫茶店で演奏してたギタリストに伴奏を頼んだら、実はバークリー大学出身のプロのギタリストで。そんな人が安いギャラで 快く引き受けてくれて。楽譜も買おうと思ったら、僕が作るよって、自分が歌った曲を、譜に起して書いてくれました。その喫茶店や、自分がアルバイトしていた居酒屋、知り合いのお店とかでライブ、時には客が投げ銭もらって歌う、そんなスタートでした。

 

Q. オリジナル曲ができるまでのストリー

A. 最初はジャズのスタンダードを英語で歌ったり、3歳の頃に母から習って初めて人前で歌った童謡「みかんの花咲く丘」それに「アリラン」をアレンジして歌ったりしていました。それから2ヶ月くらいして、夫の暴力に苦しんだ妻が5歳の男の子と自ら命を絶ったという実際の事件をテーマにした秋田の友人の詩に出会って、冗談で、じゃあ私が曲作っちゃおうかしら、と言っていたら、秋田から帰るバスの中で天から降りてきたようにメロディーが降りてきて、初めてのオリジナル曲「森のかぞく」ができました。その頃から、交通事故で亡くなった青年の遺した詩など、出会った詩に曲をつけたり、詩も書き始めて、それからライブもオリジナル中心になってきて。

Q. CD発売までの道のりは?

A. 歌手宣言は41の時ですから、ゆっくりやっていられない、1年目で仕事をいただけるように、2年目でCDを出せるように、と2年計画の目標で、芽がでなかったらやめようと思って。それで1年目の2004年に、はじめてギャラのいただける仕事の依頼をいただいて、そこから色々と仕事をいただけるようになってきて。翌年、2005年に自主コンサートをした時にギタリストの矢野敏広さんに、CD出したいんだけれど、と相談したらよっしゃ、と動いてくれて。

Q. −ファーストアルバムからセカンドアルバムへ…

A. 1枚目は、目標を達成して、「夢の実現!」っていう感じで、本当に嬉しかったです。アルバムは私にとって我が子のよう。その時々のあるがままの自分から生まれてくる感じと言うか。 でも 最初に英語の歌を中心うたってた時期には、もっと本当の自分を出せばいいのにって言われた時もあったんですよ。

 

 

でも、自分としては精いっぱい出しているのにこれ以上どうしろっていうのよ。という気持ちをテーマにしたのが「マウム〜こころ〜」という曲で、「あなたに何がわかるっていうの」っていうフレーズがあって(笑)。この曲を「これ、いいじゃない」って言ってくれる人たちが増えてきて。自分のドロドロした部分を出していいんだ、逆にそこで触れてくれ る、そこを音楽で表現することで、ふだんそういうことを隠している人の琴線に触れて、共感してくれる人がいることが分かって、ポジティブな自分とネガティブな自分、両方の自分を認めてあげよう、そんな境地になってきましたね。

 

 

Q. コリアンとしてのルーツ

A. 生まれた時から日本国籍で、日本の学校でしたが、一世の父、祖父母も一緒で、チェサもやる家でしたから、子供の頃から私は韓国人という認識があって、差別も受けてなかったので、小学校低学年頃まで韓国人であることが皆と違ってカッコいいと思っていて、「私韓国人なの」って自慢してました。でも、大きくなるにつれて、悪口が聞こえてきて、これは、隠して言わないほうがいいという風になりました。大人になって、自分のアイデンティティを隠しているのに行き 詰まって、別に何か悪い事をしているわけではないのに、なぜ隠さなければいけないの?と思ったのが、20代の半ばくらい。その時にちょうど民族名を取り戻す会という運動を知りまして、日本国籍を取得している人達が民族名を戸籍上の名前として認知してもらう裁判を起して、最初は負けていたのがだんだん勝つようになって。ただ創始改名の歴史的背景にはふれずに、永年使用で不便だから、という形でしたけれど。それで、このやり方がある、いずれ私もそうしたいと思って、友達に「これからは盧って呼んでね」って。自分の郵便物なんかでも、迷惑がかからないように、様方盧佳世っていう宛名 にしてもらったり。 その頃は父方の親類は皆日本国籍だったのですけど、中には自分の家のルーツを子供達に明かさない親戚がいて、大きくなるとだんだん祖父母に会いに来なくなって寂しがっていて。そんな時に盧佳世宛の郵便物を見て不思議に思った祖父が、両親から佳世はこういうことをしていると説明されて、佳世はえらい、と。自分のルーツを大切にして生きようとする私を、祖父が本当に喜んでくれていたというのを聞いて、私も嬉しかったですね。

 

Q.「盧」姓を取り戻すまで

A. 95年に、戸籍を分籍した私一人だけが氏変更の申し立てをして、前例もあったので1ヶ月もかからず許可が下りて、戸籍上も認められて、盧姓になれました。家族の中で私だけが盧を名乗り始めた時に、父からは折角将来のことを思って日本国籍にしたのに、何もわざわざ茨の道をとか、母からも、家族への影響も考えなさいって言われたりして反対されたんですけれども、最後にはそれができるならそれが一番良いって家族みんな応援してくれて、父も陳述書を書いてくれ まして。名前の佳世は、川崎の運動に出合った時に、カセって呼ばれて嬉しくなったこともあったんですけど。私はカヨと呼ばれて育ってきて、この名前は嫌いではないし。私が日本で生まれ育ってきた部分を排除する必要はないし、盧というルーツを持った佳世という私が、日本で生まれ育っているというのがありのままの姿で。私はナニ人なんだろうと悩んだ時期もありましたが、どっちかに決めるのはがある無理じゃないですか、どっちでもあるというその姿をあらわすのに は、民族の姓ノであり日本名カヨと言うのは私の実態そのものなので、読みもあえてそうしています。

 

Q. これから歌っていく歌?

A. 私自身、日本で生まれ育って、日本語で生活しているので、これからも日本語の歌を歌っていくと思うんですが、自分のルーツとして韓国の歌もどんな形であれ大事にして、歌って行きたいって思ってるんです。日本の文化、韓国・朝鮮半島の文化のどちらかに無理やり合わせるのでなく自分の中で融合されて、その中で日本語があったり、韓国語があったり、一緒にあるものをそのまま出せていければいいなって。 私が若い頃は日本で自分のルーツを明かすのは今より難しかったけれど、韓流ブームからは、多くの日本人に、悲しい歴史の部分だけでなく、楽しいもの、美しいもの、色々な事をを知ってもらえるようになって、ずいぶん意識が変わったところがあると思います。そんな今を生きている私たちが、お互いに仲良く交流していく事で明るい未来がある。そこから歴史を学ぶきっかけが生まれるかもしれない。 肩の力を抜いてあるがままの自分を表現する事で交流ができたらいいなあと思います。音楽って国境を越えられる、そんな素晴らしさ、音楽の持つ力で人と人とを結んでいくような活動ができればいいなって思います。

 

 

Q. クルトギ読者へのメッセージお願いします。

A. 歳がいくつになっても、遅くはありません。一度しかない人生、あきらめず、夢にチャレンジしてくださいね!

 

● 盧佳世(nokayo/ノカヨ)オフィシャルWebサイト : http://nokayo.syncl.jp

●今後のスケジュール

- 6月1日(火)【東京・高円寺】ソウル&津軽 魂の音楽の邂逅
   出演:盧佳世(Vo.) 矢野敏広(G.) 三上寛(Vo.G.)、佐藤通弘(津軽三味線)
- 6月11日(金)〜6月16日(水)【北海道・道東ツアー】
- 6月19日〜26日【韓国・ソウル】 盧 佳世LIVE with 佐藤行衛
- 6月28日(月)【東京・四谷】あべあきら & 盧佳世 ツーマンライブ
- 7月某日(?)【東京】盧佳世 バースデイ・ライブ
- 8月 1日(日)【東京】盧佳世 介護福祉士受験対策講座で応援コンサート
- 8月29日(日)【東京・中野】盧佳世「Moo Moo Live 2010 夏の陣」に出演
- 10月25日(月)【兵庫・淡路市】盧佳世トーク&ライブ at 東浦中学校

 

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